2012年6月24日 コンソーシアム京都にて 「第1回 宇宙産業シンポジウム」を開催いたしました。
当日は、9:30~18:00 という一日がかりのスケジュールでしたが、学生から社会人の方まで会場いっぱいに約80人もの皆様に参加していただきました。
なお、本シンポジウムに関する詳しい内容につきましては、報告書をご参照いただければ幸いです。
本シンポジウムでは、講演者として宇宙産業を先導する以下の5名の方々にご登壇いただきました。
(10:05~11:05)
秋山 演亮 氏
和歌山大学 宇宙教育研究所 所長 / 特任教授
ご自身が、内閣官房「今後の宇宙政策の在り方に関する有識者会議」の構成員でいらっしゃった経験などから、産官学を見渡した実際的かつ戦略的な視点から、新体制下での日本の宇宙開発の在り方などについてご講演いただきました。
また、参加者同士で行ったワークショップではご講評をいただきました。
~気づいた点!~
資金難の中で日本の宇宙産業は国内の官需にいつまでも依存するのではなく、宇宙新興国への宇宙教育などで人的ネットワークを形成したり、民間を巻き込んだりして戦略的にどんどん広げていくことが必要であると気づきました!
また、ワークショップでの参加者に対する「自分でやれ」というお言葉は、多くの参加者に「気づき」を与えたのではないかと思います。
(13:00~14:00)
中村 友哉 氏
株式会社アクセルスペース社 代表取締役
宇宙産業においても「当たり前のビジネス感覚」の導入が必要であるという議論を軸に、ご自身が携わっておられる超小型衛星の民間ビジネスとしての有望性、さらには実例に至るまで、実際に現場で活躍されている方ならではの迫力と説得力のあるご講演をいただきました。
~気づいた点!~
宇宙に対する「コストもリスクも高い特殊な場所」であるという一般的な概念を打破し、顧客にメリットを提示することで宇宙が「夢」だけの存在ではなく、利用することでビジネスができるのだと気づいてもえらるのだ、ということに気づきました!
(14:00~15:00)
パトリック・コリンズ 氏
麻布大学経済環境研究室 教授 / International Space Future Alliance (ISFA) 代表
NPO法人日本宇宙旅行協会会長 / ANSARI X-PRIZE アドバイザー etc.
「おもしろき こともなき世を おもしろく」をキーワードに、現在研究開発の進められている「RTV」やその延長線上にある宇宙観光ロケット「宇宙丸」などの実例を挙げながら、近未来を視野に入れた「大勢が買いたいサービス」としての宇宙旅行産業あるいはその周辺分野の展望についてご講演いただきました。
~気づいた点!~
「宇宙旅行産業」というのは「大勢が買いたいサービス」であるため、新しい産業として日本に明るい未来をもたらすものであり、その下地もすでに整っているのだということに気づきました! また『宇宙資源の利用は、資源戦争の費用より安い』という言葉は私自身にも大きな気づきを与えてくれました。
(15:10~16:10)
磯部 洋明 氏
京都大学 特定講師
宇宙進出に伴い思慮すべき事柄として、「普通の人間」がより一層宇宙へ進出するようになったとき生まれてくることが予想される、宇宙での文化、あるいは宇宙開発の進歩に伴う問題点などについて、ヒトが宇宙を目指すこと自体の心理にいたるまで、京都大学宇宙総合学研究ユニットで実施されたことを例に挙げながら、ご講演いただきました。
~気づいた点!~
宇宙開発が進み、産業が花開きつつある「黎明期」であるからこそ、今から想像力や議論を駆使して、宇宙空間におけるガバナンスや倫理的問題について考えることが重要なのだということに気づきました!
(16:10~17:10)
山川 宏 氏
京都大学宇宙総合学研究ユニット 副ユニット長
山川先生自身がご尽力され、まさに本シンポジウムが開催される2日前(22日)に公布が閣議決定された、宇宙関連法案としての「内閣府設置法等の一部を改正する法律案」について、その内容や成立過程に至るまで、体系的にご解説いただきました。また、日本の宇宙開発および産業を取り囲む「新体制」下での今後の展望について、それらをご牽引する立場から、正確かつ実際的なご講演をしていただきました。
~気づいた点!~
内容が専門的な部分も多かったため、メモを取りつつよくわからない点も多かったですが、「みちびき」や地球観測衛星分野など、まだまだ新体制下において日本が「勝てる!」分野があるのだということに気づきました!
今後の国の政策としての宇宙開発も楽しみです!!
午前の最後の企画として行われた参加者主体の『ワークショップ』では、参加者は6人程度の各グループに分かれ、「自分が描く宇宙産業」や「あってほしい宇宙サービス,商品」などについて自由に議論を戦わせ、最終的に一枚の画用紙にまとめました。その後、隣の班同士で簡単な発表をし合い、画用紙は昼休み以降会場の壁に掲示されました。
本企画では、宇宙のことをよく知っている人も、興味があるだけだという人も、それぞれの視点でユニークな案を出し合い、時折笑いを交えつつ一気に参加者同士の親近感が高まりました。どの班の画用紙にも魅力たっぷりのビジョンが詰め込まれており、参加者の皆さんも宇宙産業の有望性について、あるいは宇宙の楽しさに気づいていただけたのではないかと思います!!
本シンポジウム閉会前の最後の企画として、お招きした5名の講演者の皆様にパネルディスカッションをしていただきました。コーディネーターはNoti's副代表の石田一希が務めました。このパネルディスカッションでは、『新産業としての宇宙産業で日本は勝てるのか!?』,『宇宙はいつまでも「夢・希望」のままでいいのか!?』など、興味深い議題について、白熱した議論を拝聴することができました。若干時間が短かったかもしれませんが、普段は聞くことのできない宇宙界の泰斗と呼ばれる方々の討論を聞くことで、参加者の皆様自身も議題に上った、日本は,宇宙産業は「次何をするのか」といったことに対して考えを深めることができたのではないでしょうか。
(文面 : 青谷拓海)